アジア大会サッカー予選リーグ1回戦。日本は2-0でパレスチナを破った。とはいえ相手は国情の乱れからチーム練習さえ十分でない、いわば格下チーム。コンディションにも大差があり、本来なら強さを見せつけて一捻りすべき相手だ。しかし、前半0-0。後半もなかなかチャンスを作れず、途中出場の石川や田中達が果敢なドリブル突破で何とか相手ディフェンスを切り崩し、面目を保つにとどまった。 現在のU21世代は「谷間」と揶揄される。稲本、小野ら上の世代に比べ、力が落ちるという意味だ。個々の技術では決して劣らないのに、何かが足りない。その1つは経験。大きな国際大会は数年おきであるため、どこかで文字通りの谷間世代が生まれる。チーム戦術も熟成せず、苦境下でのオプションにも乏しい。 もう1つ欠けているのは「魂」。修羅場を幾度もくぐってきたA代表の選手たちには、貪欲にボールに食らいつく泥臭さがある。しかし温室育ちの今の世代は、きれいにプレーしようとし過ぎてしまう。もっと貪欲にゴールを向き、時に相手を蹴散らすような雑草のたくましさを身につけない限り、彼らは今後も谷間から抜け出せないだろう。
きれいな敬遠(9/30)
土日のダイエーVS西武戦で、カブレラが3度敬遠された。これだけを見れば、去年のローズのように王のシーズン本塁打記録を破られまいとする姑息な手段かと思われそうだが、今回はそうではない。 土曜日は同日54号を放った後の9回の打席。走者を置いて1点差の状況では、敬遠策はセオリーと言える。また日曜日は、先制を許したくない初回の1死2、3塁と、1点取ったあとの2死2、3塁のケース。ダイエーでなくともこの強打者を敬遠して塁を埋め、次打者との勝負を選択するだろう。こうした戦術的な敬遠策は、相手の実力に率直に敬意を示す意味あいもある。そこには潔さが感じられる。それ以外の打席ではきちんと勝負しているのだから、この項で厳しく批判した去年のケースとは明白に異なる「きれいな敬遠」だったと私は評価したい。(30日付朝日新聞にも、同趣旨の論評を見つけました。ご参考まで)
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