500文字のスポーツコラム(平日更新)
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2002年05月07日(火) プロの体になった正田樹に期待

 今月3日、日ハムの正田樹投手が完投勝利を挙げた。桐生第一高校からプロ入りして3年目。初めての完投勝利である。
 正田は、99年夏の甲子園で全国優勝を果たしている。当時私は群馬に住んでいて、県大会から彼を目にする機会があった。その際同僚に、「この投手は必ず甲子園で活躍する」と断言したのを覚えている。理に叶ったフォームから投じられるキレのいい球は光彩を放っていた。もっとも全国優勝までは念頭になかったが…。
 その後彼はプロへ進むのだが、ロッテの黒木知弘をその高校時代に見た時同様、即戦力ではなく数年鍛えたのちに面白い存在になるだろうと見ていた。
 果たして3年目、正田はプロの投手として一つの壁を越えた。久しぶりに見る彼を見て、私は「プロの体になったなぁ」と感じた。高校時代はピンストライプのユニフォームがだぶついて見えるぐらい、線の細い選手だった。それがいまや下半身を中心に充実ぶりが伝わってくる。2年余りのたゆまぬ鍛錬の結果であろう。もともとバランスは抜群の選手。大学に進んでいれば3年生という年齢にして既に立派なプロの体を手に入れた彼に、今年の活躍をはっきりと予感する。


「87球」の値打ち(5/7)

 日ハム・正田の完投勝利は、わずか87球で完成された。被安打4、うち1本はこの日唯一の失点となる松中の一発だから、早いカウントで打たせて取るピッチングがほぼ完璧に出来た事になる。
 打者優位のプロ野球において、90球どころか100球を切る球数で9回を投げきるのも容易ではない。速球や変化球のキレだけでなく、何より巧みな投球術、すなわちインテリジェンスが欠かせない。私が今年正田は活躍すると思うのには、そこに非凡なものを感じるからだ。甲子園で全国制覇した時分から、その片鱗は確かにあった。
 松坂や寺原のような「凄さ」は正田にはない。だが、こと「巧さ」や「センス」は決してひけを取らないことを、この「87」という数字は証明している。



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