つたないことば
pastwill


2006年02月21日(火)  おかあさん

山崎は母ちゃん似かィ、と今までの会話なんか全部なかったことのように切り出した。山崎はまあいつものことだ、と言わんばかりに溜息をついて少しだけ笑うと、母親の顔はよく覚えてないんです、と悲しいのかおかしいのか解らない表情を浮かべていた。山崎は男だけど時々、いや、女らしいというよりも、遠い昔の薄れ掛けた記憶の中にある母親のやわらかな仕草、微笑み、そういったものを持っていると思った。触れられると泣きそうになる、温かで哀しい、感触。いつだかこれは恋なのではないかと思ったことがある。でも今思えばなんてことはない。恋しいだけだ。おかあさん。



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