薄紫の花が咲いていた。 緑もおうおうしく茂り、 空は高く澄んで青く眩しい。 それでもどこか薄暗く、時々涙を落としてく。 そして涙が天と地を結び、地はあの日吸い込んだ 全ての想いを空へ空へと押し上げる。 拝啓、そちらはどうですか。 長く続く時間の刻みは、心を癒してくれますか。 たおやかに穏やかに、あの日から心を開放して くれますか。あの日まで見ていた夢は何でしたか。 若く健康な若者には、たくさんの希望と 真っ白な未来が約束されていたはず。 奪った全てに怒りを覚え、 失った全てに枯れぬ涙を流した事でしょう。 どれ程の時が経とうとも、取り除けない痛みがある。 知りもしない事実に、私は今年もこうして一人 涙を流す。去っていってしまった人へ。 そして、残され痛みから開放される事なく 毎年同じ涙を流し続ける人へ。 だけど忘れないで欲しい。私たちはあなた達なのだと。 あなた達が生きていればしていただろう恋も夢も 私は必死で頑張ってる。あなた達が夢見たであろう 真っ白な未来を、私も今必死で探している。 決してあなた達の全てがなくなったわけじゃないのだと、 思いだけは続いているのだと知って欲しい。 人は必ず同じ夢を見る。それは永遠に受け継がれていくものだから。 だからどうか、今は穏やかな夢を見て欲しい。 安らかにゆっくりと眠って欲しい。 そう願わずにはいられない、名もない私の祈りを どうか叶えて欲しい。 どうかどうか痛みを忘れ悲しみを忘れ、安らかに…。
|