過ぎた過去はなぜ切なく思えるのだろう。 それが美しいものならなおさら愛しく切なく。 その日の思いが蘇れば、よどみなく涙が溢れる。 あの日に帰りたいとさえ思ってしまう。 過ぎた過去にすがって生きる事はないけど。 それでもあの一瞬は本物で大切で、今でも色あせる事 なく、むしろ鮮明に思い出され手を伸ばして欲してしまう。 今が辛いからというわけでもないのに。 遠い記憶の物語はそうやっていつも私を揺さぶる。 思い出したくない過去でさえそうなのだから、 愛しい過去は麻薬のようなもの。 それでも新しい扉を見つければ迷う事無く 開いて進み、その先に果てを見出すのだろうけど。 美化、されているのかもしれない。 それでも大事で愛しくて帰りたい過去でいいのだと 思う。同じ気持ちになりたくて今を生きるから。 前へ進むことと帰りたい過去がある事。同等に大切で。 きっとそれが私を突き動かすもの。
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