なぜもっと気が利いた事が出来なかったのだろう。 後悔はいつだって後から後からこぼれて。 いつから知らない人間になってしまったのだろう。 小さい頃は兄弟のように手をつないで。 好きだよって言ってくれた。 あの子はもういない。 いつから独りぽっちで生きてたんだろう。 一人は嫌だと泣いてたのに。最後は一人を選んで しまった。なぜ乗り越えられなかったのだろう。 手を伸ばす人はいたはずなのに。 なぜ届かなかったのだろう。 そして自分は、遠かったはずでもない。 頭のどこかで知っていた。それでも日々の忙しさに 余裕もなくて。失った結果がこんなに打ちのめされて。 自分には何も出来ない。誰も守れない。誰も助けれない。 こんなにもちっぽけで役立たずな人間。 何の為に芝居を選んだんだろう?誰かを助けられる はずじゃないのか。誰かに何かを伝えられるはずじゃ。 こんなに何も持ってない自分は、それでもこの痛みを 乗り越えなくちゃいけないんだ。 今度こそ間違わないように。次こそ誰かを救えるように。 それまでは必死で自分を救うんだ。守るんだ。 何も出来ない自分がせめて愛する人に無様な姿を 見せないように。せめて自分で自分を守れるように。 前へ前へ足を無理矢理にでも前へと進めて。 乗り越えて行く。昨日を。この日を。 少し高い所が苦手になった臆病な心を乗り越えて行くんだ。
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