年末・年度末に向けて忙しさがクレッシェンドしてきています衛澤ですごきげんよう。
わたくしこの度はじめて「二次創作」というものに手を染めました。
二次創作というのは、他者の著作物の登場人物や世界観を用いて二次的に創作すること・創作した作品のことです。既存の作品を原作に持つ著作物ですね。英語では「Fan Fiction」と言うそうです。この度私が原作に択んだのは
VOCALOIDです。
「原作」というと少し違う感じがしますね。VOCALOIDというのは「音声合成エンジン」、「歌声合成ソフト」のことですから、「題材にした」と言った方がしっくりくるかもしれません。
小説については幾分ブランクがありまして、勘を取り戻すために習作として書いたのですが、構想の段階で「長くなる」ということは判っていました。長くなりそうだったので、幾つかの要素を構想から削ってお話を組み立て直したのですが、やっぱり少し長くなってしまいました。サイトに掲載するに当たり、短めに頁分けしてちょっとずつ読み進められるようにしておりますので、みなさま方にはお読み頂ければ、と思います。
当該作へはトップページの「training」からどうぞ。タイトルは「きみに歌をこの手に奏でを」、冴えないおっさんがごみ捨て場でボーカロイドを拾ったところからお話ははじまります。どうぞよしなに。
さて、もう一つ、はじめてのことがあります。このたびの二次創作にはフルデジタル制作を採用しました。
これまで私は「半デジタル」で小説を書いていました。400字詰原稿用紙に万年筆で原稿を書き、清書にPCを使っていたのです。これまでに何度かフルデジタルに移行しようとしたのですが、紙の原稿の便利さに甘えてしまい、叶わずにいました。
紙の原稿は、前に書いた部分といま書いている部分を並べて突き合わせる、ということができます。くるくるスクロールしなくてもいいので目にやさしいです。また、クリックするところを間違えたからといって一瞬で全文が消えたりしません(ここ重要)。更に、書き直したけど前の方がよかった、という場合にも復元が容易です。
これほど左様に便利な紙の原稿ですが、原稿の量が沢山になればなるほど、不便も出てきます。中編、長編になってくると、清書(PCでの打ち込み)が大変な手間で、書き上がっているのに提出原稿はできていない、という時間が沢山になるのです。
そこで、長くなりそうなものを書きはじめるに当たり、フルデジタル制作を練習してみようと考え、今回の習作に至りました。
原稿制作には
ポメラを導入しました。小型のテキストデータ作成ツールです。テキストエディタの機能しかないので、原稿作業中に気が散ってネットサーフィンしてしまったりということを防げます。また、単4乾電池2本で動くので持ち運びに便利でリーズナブルです。外出先に携行してちょっとした空き時間に原稿、ということもできます。長時間外出してかつ空き時間が多そうなとき(私の場合は主に病院定期受診で待ち時間が長いとき)に持っていると便利です。私はポメラと電子辞書を持って外出していました。
自宅で原稿書きをするときは、
O's Editor 2を使用しました。このエディタは「400字詰原稿用紙」のほかに「大学ノート」や「シナリオ」、「台本」、「青空文庫入力校正」など多彩な編集画面がありまして、中でも「原稿用紙印刷」表示は大変使いやすかったです。原稿用紙1枚を一ト目で捉えられるというのが有難い。頁のどの辺をいま書いているのか、ということが直感的に判ると自分が書いている文章量もだいたい把握できるので、書き進めやすくなります。
シェアウェアで、ライセンスを2000円で購入する必要がありますが、使い勝手がとてもいいので2000円は決して高くはないと思います。
自宅ではO's Editor 2と某検索サイトの辞書頁を使って原稿を書きました。原稿書きと辞書引きが同じデバイスでできるというのは大変便利で、書いていて愉しかったです。
もう一つおまけにはじめてのこと。それは音楽を題材に取ってお話を書くことです。何せ私は先天性音楽機能不全を抱えておりますので、音楽に関係する記事を書くことなど、いままではむしろ避けていました。しかしVOCALOIDは歌声合成ソフトですから、歌に関することを書かねばお話になりません。
で、今回がんばって書いてみました。できるだけ音楽や歌に関することは調べましたが、ほとんどハッタリに頼っているという事実は覆し難く……ナンカオカシイヨという部分があっても寛容に受け止めて頂きたく。お願いします。
実を言うと、今回公開しましたお話は、五年くらい前にプロットを立てて書きはじめたものでした。書きはじめからこれまでの間に海外へ手術を受けに行ったり国内で半年のうちに三回手術を受けたり持病のために執筆できなくなった期間があったりといろいろありましたが、ともあれ一度書き出したものを放棄することなくお終いまで書けたことに、よろこびを感じております。