昨夜は二一三〇時に松本市に到着し、インターネットカフェで一ト晩過ごした。松本市にだって勿論ビジネスホテル等の宿泊施設があるのだが、幾ら低料金の施設でも五〇〇〇円はかかる。それだけ支払っても施設の中ですることと言えば入浴と睡眠だけだ。だったらインターネットカフェの個室でもいいよな、と思った訳である。こちらは三〇〇〇円もかからない。
しかも本読み放題で、飲みもの飲み放題で、シャワールームも無料で使わせて貰える。ぼくが利用した松本駅前の店は同じビルに入っている居酒屋と提携していて、ネット上からの注文で料理を出前して貰うこともできた。ぼくは利用しなかったけど。
さて、一ト晩明けて今朝。〇九〇〇時を過ぎた辺りにインターネットカフェを出て、駅前を歩いた。ぼくが地元を出発した頃は地元は真夏日続きで、暑くて仕方がなかった。しかし松本市の午前の気温は二四度。ひんやりした風が吹いて涼しい。流石長野県、避暑地になるだけのことはある、と知った風なことを思った。
この日は午前中、一〇〇〇〜一一〇〇時くらいに病院にチェックイン(違)するようにと指示を受けていたので、そのようにする。昨日付にも書いたように、受ける手術の執刀をしてくれるのは信州大学医学部附属病院の医師だが、入院するのは街なかの一般病院だ。探しながら街を歩くと丁度頃合いの時間に到着。
しかし、入院とは言っても身体の何処も悪くない訳で、病室に案内してくれた病院職員氏も「手術は明日ですし今日は予定がないので、荷物を置いて観光してきてもいいですよ」と言ってくれた。更にもう少し前、受付で入院の手続きをしたときには、入院案内や病院内の施設等が書かれた書類と一緒に「松本市観光マップ」を受け取った。病院で観光用の地図を貰うなんてはじめてだ。ついでに言うと「携帯電話を使ってもいいです」と言った国内の病院もぼくははじめてだ。
でも、この日は特に出掛けずに病室で過ごした。テレビを見てみると、地元放送局で「求人情報」という番組が放送されていて、その画面は新聞の求人広告を一社分ずつ切り離して撮影した止め絵を映すだけ。求人の給料額や静止画多数のCM等を見ると、多少失礼だが松本市の田舎加減はぼくが住んでいる街とたいして変わらないと思った。
入浴させて貰ったり(勿論自力入浴)術後に服む薬を貰ったり以外は面倒を見て頂く必要もないので看護師諸氏が病室を訪れることもなく、愉しみは食事だけ……なのだが、病院の食事ってものは全国何処でもそこはかとなく貧しいのだなあ、としみじみしてしまった。
貰った薬はペンレス、セフゾン、ロキソニン、ヒアレインの四種。
ペンレスはテープ状の麻酔剤。術前一時間くらいに目蓋に貼っておく。局所麻酔の注射を痛くなくするための麻酔。
セフゾンは抗生剤。術創が化膿しないように服む。
ロキソニンは鎮痛消炎剤。術創の炎症を防ぎ、痛みを軽減する。
ヒアレインは目薬。眼ン玉が乾かないように。「上目蓋を切開するので、その傷にかからないように下目蓋からさしてください」とちょっと難しい指示を受ける。
昨夜はインターネットカフェで本に囲まれて昂奮したのかあまりよく眠れなかった。そのせいか二〇〇〇時頃には眠くなってしまった。二一〇〇時が病院が定めた消灯時間だが、さっさと暗くして眠った。