2001年09月05日(水) |
『千と千尋の神隠し』(長い) |
観てきました。三回目。 夏休み終わったから空いてるかな〜と思ったらとんでもなかったね。さすがPTA公認?の宮崎アニメ。レディースディだしな。年齢層も結構高めかな?(私の隣にはきれいな白髪ショートの人が。シンプルなTシャツが似合っててかっこよかった)
これねえ、公開初日になんとなく見に行って大はまり。凄いスゴイ!こんなに面白いなんて!十年ぶりの宮崎作品はもの凄いことになっていた。 『千と千尋』観る前のマイベスト宮崎劇場作品は『魔女の宅急便』だったけれど…越えたなあ。こりゃ観なきゃいかん!と思って『紅の豚』と『もののけ姫』のビデオも観た…両方ともとっても面白かった…でも『千と千尋』のほうが好きです。
怪しくうつくしい、可笑しくなつかしいものをこれでもかってくらいごちゃまぜに詰め込んだあの世界が好きで堪らないのは当然?だけど、この作品が凄いのは、それらに対する説明らしい説明なーんも無し!ってとこだと思う。世界の成り立ちも、油屋のしくみも、神様も化け物も、様々な禁忌と魔法も。疑問は疑問のまま、謎は謎のままほったらかし。 でも不思議と気にならない。そういうものなんだな、と受け入れられる。いや、受け入れるしかないのか、さもなきゃ消えて無くなるか豚や石炭のかけらになるしかないんだもんね。それは千尋か。でも観客も同じだよね。この世界を「そういうもの」として受け入れられなけりゃ、無粋な詮索や無意味な解読作業に陥ってしまうんだよ、きっと。 千尋と同じ視線で世界に向き合い、摩訶不思議の世界を旅し、こころ踊る物語を楽しむ、それだけ。
あ、やばいかな、って思うところもありましたけどね。ほら、例の河の神様のところとか。 千尋がつまんないこといわなきゃいいな、とどきどきしてました。<いらぬ心配を(^^;) カオナシもかなりおいしそうですよね、そういう意味では。 陳腐にしかなりえないメッセージを読みとりそうになるぎりぎりのところで踏みとどまってくれて(と私は感じた)、よかったナア。
私がこの映画で一等好きなのは電車のシーンなんですが、ここに監督は「銀河鉄道の夜っていうのはここだったんだ」という台詞を入れたかったそうです。結果として入れられなかったわけですが…… よかったなアアアアア!(>_<)
車窓をよぎる風景の中に、小さな離れ島。家が一軒あって、樹が一本立ってて。そして一列に並んだ洗濯物。 ここが何故だかとても印象的でした。無理矢理言葉にすると「これが人生だ」みたいな気持。うーーむ、何故そうなるんだ?
そして見終わってしみじみ思ったのは「日本人で良かったなあ〜」 (正確には「宮崎駿と同じ国に生まれてよかったなあ〜」になりますか) これは勿論、現代日本が舞台(一応そうなるよね)だからじゃなくて、あのごちゃまぜ和洋折衷なんでもありの世界の方で。「トトロ」でも「もののけ」でも感じなかった、ああ、わかるなあ、これは自分の中にも脈々として確かにあるなあ、という感覚。近しく親しい気持で過ごせた2時間あまりでした。
初めて見たときには、大人も子供も楽しめる傑作だ!と思ったけれど、改めてみると明らかに大人の方が楽しめる作品ですね。忘れていた記憶のあちこちを刺激される。(「忘れていた」んじゃなくて、「思い出せなかっただけ」だそうですが) こども達はきっと「何だかよくわからないけど楽しかった(怖かった)映画」として心のどこかにしまい込むんでしょうね、今の時点では。
うーん、また観に行ってしまうかも。
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