浅間日記

2012年09月23日(日) 晴れ舞台

父と母が続けている市民オペラの発表会。
Hと子ども達を連れて観に行く。

ロビーで子どもを見ながら、Hと交代で鑑賞。
「歌劇団結成から6年、満を持して取り組みます」と、
パンフレットには指導者の言。

そう、満を持しての「魔笛」である。
そして私達も今回初めて、本番の舞台を見に行くのである。

九官鳥が首を絞められたような声で歌う父に、
頼むからやめてくれ!と心の中で懇願した6年前。
何も今さらその年で歌など始めなくても、と心底思った。

けれどもどんなに仕事で疲れても毎回欠かさずに練習に通い、
団の理事にまで引き受け、今や舞台も6回目になる。



他人が観れば恥ずかしい学芸会である。サムイ、と言われるかもしれない。

還暦もとうに過ぎたジジババが、厚化粧をして、ヒラヒラのドレスを着て、
日頃耳にするプロの歌声とは程遠い声で、パミーナだのタミーノだのとやっているのだから。

なのにどうしてか、舞台で両手を広げて王子になりきっている父は、
今や、九官鳥ではなく立派なテノール歌手である。

パパゲーノと二重唱を歌う母はお姫様になりきっていて、
確かにそういえば、私が小さかった頃にはこんな娘の片鱗を残していた。

涙なくしては観られないのである。
この人達が自分の両親でよかった。

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