政府は5日までに、街づくりの基本理念をまとめた「都市再生基本方針」を大幅改定、郊外開発を抑制して都市機能を中心市街地にコンパクト化する方向性を本格的に打ち出すことを決めた。人口減少時代に対応し、ビジネス機能や住宅を市街地に集中させて効率化、自動車利用を減らし温室効果ガス排出抑制を図る。1月中の閣議決定を目指している。 現行の基本方針は「高度成長期からの都市の外延化抑制」と「求心力のあるコンパクトな都市構造」を目標に挙げているが、具体策は示していない。現在検討中の改定案では、都市計画の見直しと郊外の農地、林の宅地開発抑制を明示。市街化調整区域の拡大や、業者への開発許可を厳格にするなどの方法で都市の拡散を防ぐ構えだ。
というニュース。
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人口減少の時代に、これ以上農地や林地の宅地開発は不要である。 そのことは、おおいにもっともだと思う。
ただし、都市部以外の地域に人が住み続けなくてもよいということではない。
市民はすべて都市に暮らし、農地や林地の管理は、行政や企業が、業務として行う。
「都市再生基本方針」の改定が、もしそんなイメージを抱いているとしたら、それは大間違いなことだ。
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日本の国土は、箱庭みたいにできている。 山や谷や平地や湾が、箱根の寄木細工みたいに入り組んでいる。 水や土の性質が、小さな尾根をまたぐだけですっかり違うこともある。
アメリカやオーストラリアみたいに農地や林地を集約管理できない。 土木の力づくで集約してしまえば、砂の城みたいにバランスを崩す。
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仕事で土地と向き合う人は、縮尺図面の上にいる。 下手をすれば、衛星画像などを使って、地球の外側から土地を眺めている。
もちろんそうした役割も必要だ。俯瞰するというのは悪いことではない。 でも、それだけで上手くいくことは、絶対にない。
1対1のスケールで生活とともに自然と向き合い、土地を継承していく者がいなくなれば、 あっという間に、この国はこの国の人間のものでなくなってしまうだろう。
豊島みたいに、アジア大陸の産業廃棄物の最終処分場になるか、 オガララ帯水層みたいに水源を一滴残らず搾り取られるに違いない。
何故ならば、国民が「別にそれでもいいや」と思うようになるからだ。
2008年01月13日(日) 消えていく理由 2007年01月13日(土) 凍み上がり
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