帰宅。Aは寝ないで待っていた。
荷物を部屋において、留守中に変わりなかったか聴く。 お母さんは映画を見ながら帰ってきたよとこちらも報告。
ヨーロッパのお屋敷の話で、沢山のメイドさんや執事が出てくるんだよ。 コートを脱ぎながら切り出す。
服を着替え、手と顔を洗い、歯を磨きながら、せがまれるままに続きを話す。
AもHも、この美人で聡明な妻を亡くした男と後妻に入った若い女が遭遇する物語にすっかり引きずり込まれている。
それでその医者は「この方の病気は癌でした」って言ったの。 お茶をすすりながら大どんでん返しのクライマックスに至る。
これで終りじゃないんだよ。最後はね、あの女中が二人がその屋敷で幸せに暮らすことが我慢できなくて、お屋敷に火をつけて燃やしてしまうんだよ、と落ちをつける。
二人そろって、ゴシップニュースでも聞いたような顔をして、へーえと口をあける。
三日も家を空けて帰宅した深夜に、ヒッチコック映画の筋書きなど話しているから途中でおかしくなった。 話すほうも話すほうだし、聴く方も聴く方だ。
2006年02月26日(日)
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