クライマーのS君が、朝刊に載っていた。 ある国の栄えある賞を受賞したのである。
三組の登山隊のうち二組が日本人の隊である。 S君のほかにも、馴染みの人達の笑顔が並ぶ。
みな爽やかである。良い顔をしている。 権威ある賞を、本当の目的-よいクライミングをすること-のオプションとして楽しんでいる。
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名誉職みたいな長老が何かとにらみをきかせるこの業界であるが、 自分がヒマラヤに登り続けられるのは、もはやこうした情熱ある若手のおかげだ、とHが言う。
あらキミもなかなか謙虚なことを言うね、と心の中で感心する。
Hはずいぶん色々なことに折り合いをつけている、と思う。 だから果たして、自分も-S君や他の若い人みたいに-誰に気兼ねすることなく毎年のように海外の高所へ行けたらと、そういうふうに思っているだろうかと、時々ふと思う。
2007年04月27日(金) 2006年04月27日(木) 天国はいらない、故郷をくれ 2004年04月27日(火) よい子馬鹿
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