病み上がりで木曽谷を南下する。
木曽谷を何度か行き来するうちに、気がついた。 国道19号が木曽川に平行している区間が少ない。
この幹線道路は、たいていの箇所で山の中腹をはしっている。 所々で、はるか下方の谷底に集落−いわゆる木曽街道の宿場町−が見えて、 この谷の暮らしや文化は、どうやらそっちにあるようだった。
甍の波を上から俯瞰しては駆け足で通り過ぎていたけれど、 今日は思い切って、集落内の生活道路を通過してみた。
長い下り坂を経て集落に入り、山を見上げると、 稜線は遥か遠く、月まで届きそうである。 川の両側に迫る、果てしなく長い山肌に、 ほとんど閉じかけた本のような状態で挟まれている。
V字谷の本当を知るならば、谷底から見上げなければだめなのだと知る。 当たり前と言われればその通りなのだけれど。
2006年03月26日(日) 生と死のはしご 2005年03月26日(土) 深夜仲間
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