熱気のこもる部屋での仕事を急いで切り上げて、 子どもたちの食事を作りにゆく。
調理場は39°。 大鍋に湯を沸かしてスープを作り、 二升の米を炊く。
山ほどのナスを、高温の油で揚げていく。
茄子は、このあたりでは、完全に飽和している。 誰かうちの畑のをもらってくれ!と、みんなが貰い手を求めている。 かくして、千にひとつの無駄もない優秀な結実ぶりが、マーケットを凌駕するのだ。
綺麗な翡翠色に、ほどよい揚げ色がついたら、引き上げ時。
茄子は、加工されることで、驚くほど美しく発色する。 浅漬けのつややかな濃紺色の果皮も、 熱を加えて現れる、翡翠色の果肉も、料理人をうっとりさせる。
夏野菜の喜びと冬野菜の魅力、どちらが上か。 いやそれは愚問だ、大事なのは採れたての旬の野菜であることだ、 などと駄考しつつ、盛りつける。
2004年08月04日(水) 家なき子
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