浅間日記

2005年12月07日(水)

初雪が残る木曽谷へ。道行にメンデルスゾーンの無言歌集。

所用を済ませた後に、小さな茶店に寄ると、
女主人が顔を見るなり久しぶりと言った。
夏の1日、気まぐれに訪れた客の顔を覚えていて、
人なつこく話しかけてくる。

中途で初老の男性が饅頭を買いに。
「饅頭4つね。お使い物だから簡単でいいよ。」
「はいはい。今日も寒いね。」
「寒いね。もうこれから四ヶ月は駄目だね」
「駄目って何さあ」
「年よりにゃここの冬はしんどいってことさ」
「駄目ってことないでしょう」
「どっか暖かいとこで暮らしたいね」
「またまた。」

暖かいストーブの前で、たわいもない女主人の話を聞く。
正月のあいさつができる頃にはまた来ておくれよと言われながら、店を出る。

再び、メンデルスゾーン。
世界には、こんなにも穏やかな喜びや安心が存在するというのに、
何故Aは、あんな混沌と不安の中にいなければならないのか。


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