浅間日記

2004年09月11日(土) 死と悲嘆の必要性

長い報告になる。

朝の新幹線で郡山へ。
「日本ホスピス・在宅ケア研究会全国大会」というのに参加。
お目当て一番は、佐藤初女氏の講演。

佐藤初女氏。
まるで泣いているような話し方で、聴衆に語りかける。
内容は決して脆弱ではない。
「人の身にあったことは、やがて我が身にある」
これを信念に、悲しみに暮れる人のケアの話をされる。
沢山のエピソードとともに、
「体験ほど尊いものはない。私はその確信をもって、80年間の人生で体験したことの中から、悲しみに暮れている人が求めているものをそっと差し出すのが仕事」と仰る。

柳田邦男氏。
息子さんを亡くされたことは有名である。
自分の中に生き続ける死者とともに現在の自分があるという。

「自分が死んでもきっと、誰かの心の中で生きられるだろう。そしてそれは自分がどういう生き方をしたかの延長線でしかありえない」という言葉。

訳書「エリカ」という絵本の紹介。第二次世界大戦中の、輸送中の列車の中から放り出され命を助かったユダヤ人の赤ん坊の話である。実話だそうだ。

在宅ホスピスケアワーカーの関本氏。
遺族のグリーフ(悲嘆)ケアについて。
悲しみの過程に影響する因子として、
突然死、子どもの死、トラウマとなる目撃(大量出血など)、死を防げたという思い、愛と憎しみの相反する思い、現実味のない死(遺体と対面できないなど)等、11項目を整理。
これに対し立ち直りに有効な因子として、
患者が納得できる状況で亡くなること、死亡時穏やかであること、遺族ができるだけのことをしたと思えること、など5項目を整理。

報告は、まだまだ続くのである。


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