気の抜けたビールのように一日を過ごす。 年に数回、マラリア熱のようにこうなる。 しかも自分はこの気分を楽しんでいるのだから、 まったく手に負えない。
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そういえば昨日新宿駅のホームで、 絶対君は歩けるでしょ、と言いたくなる年齢の子どもが ベビーカーにはちきれそうに押し込まれていた。 実は結構よく目にする光景である。
これに縛り付けておけば彼方此方ウロチョロしないし、 早く移動できるから歩かせるより輸送してしまえという算段なのだろう。 こういうものがないと子連れで都会を移動するのは至難の業なのである。
過日六本木の回転扉で死んだ子どもの水面下には、 こういう、都会の子ども達の生態がある。
少し前になるが もう排尿のコントロールができるようになったAであるのに 万が一の粗相を気にしオムツを穿かせようとする母親へ向かって、 人間の尊厳に関わる問題だからやめなさいと、父親が言った。
この人はいつも、いちいち大仰なことを思いつくものだと その時は変に感心したものだったが、 ベビーカーで輸送される子どもをみて、そのことを思い出した。
死ななければよいというものじゃないのだ。 人生には質というものがあり、 幼少期の人生の質と、身体機能を余すことなく発揮できるということは、 とても深い関係があると思う。
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