過日、車内に置き去りにされてしまった子どもの、 通夜や葬儀はもう一段落したのだろうか。
亡くなった子どもは1歳というから、 このような不祝儀は全く予想も必要もなかったことだろう。
事件からずっと頭を離れなかったが、 なかなか整理がつかない出来事である。
車内に置き去りにされているのを確認した母親は、 妊娠し新しい命を宿しているとのこと、影響が心配である。 これからいいことずくめだったはずなのに。
重い十字架を背負わされてしまった夫婦を、 この上なく気の毒に思う。
妻は夫を許すことができるのだろうか。 夫は自分の子どもを奪われてもなお、「人の命を助ける」 医師という職を継続できるのだろうか。
新しい命を自分の人生に迎え入れることは、 それなりの覚悟が必要なのだ。 特に男性の場合は処方が難しい。
父親として十分な祝福をうけ、 妻と喜びを分かち合い、 新しい命をたっぷり慈しむ。
儀式としてこういう時間が少なくとも1年は必要と思うが、 現代社会の父親にはなかなか保証されない。 父親としての権利が損なわれているのだ。
子どもの冥福と、 夫婦がこの困難を乗り越えられることを祈りつつ。
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