2004年03月06日(土) |
家畜人ヤプーである状態 |
餓死で亡くなった12歳の少年のニュースがでる前の日に、 日本生理人類学会のシンポジウムの記事が目にとまっていた。
この学会の会長でもある長崎短期大学教授の佐藤方彦という方の基調講演が掲載されていた。 「野生動物はそれぞれが進化の過程で獲得した方法で子どもを育てますが、家畜は子育てが下手です。性的には活発ですが育児本能が退化しています。人間にもこの傾向があり、自己家畜化現象とよばれています。」
ちょっと付け足すと、家畜が下手なのは子育てだけではない。 牛やヤギなどは人の手を借りないと子産みさえできない。
仕事がら、科学を語る人の発言はその人の研究センスや姿勢などのバイアスをチェックして客観的に理解すべしとしているので、この講演について安易に賛同するのが怖くもあるが、でもしかし科学の目でそのような問題提起がなされるのはいいことだと思う。
だって、「人が家畜化されている」だなんて、 生理人類学という科学の看板でも背負わなければ、 詩人か、ただの厭世家の戯言になってしまう。 厭世家の戯言であるべき、抽象的なものであるべきことが、 そこにおさまっていない怖さ、である。
しかし件の講演録の「性的には活発ですが」の一文が悲しく笑わせる。しかしなぜ家畜化された動物は、性的には活発になるのだろう。合理的ではない気がするのだが。
できれば死ぬまで人間でいたいなあ。人間で。
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