今日は耳鼻科の診察予定日だった。 朝の十時半が予約時間。 親子3人でいそいそと出かけた。
病院は天神にある。 天神というと、福岡一、いや九州一の繁華街である。
駐車場に車をとめて病院の中へ。 あたしは息子を抱いて受け付けへ行った。 大旦那はそこから別れて街へと消えた。
そう、彼は買い物にいったのだ。 もちろん自分のセーターとカッターシャツ、 あとは気に入ったものでも仕入れてくるだろう。 昨日のこともあるので好きにさせてやった。 寛大な嫁だ、あたしって。
さて、息子は耳鼻科の待合室で徘徊を始めた。 私と向かい合わせのベンチに小学生の女の子がひとり、若いカップルが一組、若い女性が一人座っている。
息子は通路を二度ほど行ったり来たりすると、おもむろに若い女性の膝に抱きついた。 彼女はニッコリほほえんでくれた。 そしてカップルの前を素通りし、小学生の女の子の手をとった。
そしてまたカップルの前を素通りし、若い女性に抱きついた。
それを三回繰り返したところで、 カップルの男性が彼女に言った。 「・・・お前、さけられとるやん」 「そっそんなとないよっ」 「いや、絶対さけられとー。タイプじゃないったいお前は」 「そんなことないって、手を出してみれば来るよ、ほらっ」
そういって彼女は息子に手を出した。 ・・・息子は一瞥しただけで、通り過ぎた。
あたしはおもわず吹き出した。 そして、 「彼氏がおるけん、この子なりに気をつかっとーとよ、きっと」と言った。 彼は首を横に振って言った。 「そげん気ぃつかわんでいいですよ。こいつ嫌われとーとですよ、なっ」と、彼。
なおも息子は彼女だけを避けて、 両サイドの女性にアプローチを続ける。
あまりの態度にあたしは爆笑しそうだった。
息子よ、お前の本心はどーなんだ? 一体誰が本命なんだ?
やがてナンパに飽きた息子は、 小児科にいけばおもちゃがあると思ったのか、 スタスタと通路を歩いていってしまった。
数分後、 彼は耳鼻科の先生に耳と鼻を掃除されて、 大泣きするハメになる。
そうそう、関係ないがこのあと近所の大型ショッピングセンターで福引きをした。 4等が当たったが、コアラのマーチ他おかしの詰め合わせだった。定価450円。
ふ、こんなもんさ。
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