2021年06月27日(日) |
車のドアロックの是非 |
私は車を離れる時は勿論、運転中・駐停車中に拘わらず車内にいる時でも、ドアをロックするよう心掛けている。 この週末に主人と出掛けた時も、主人がトイレに寄っている間にドアをロックしていたため、開けてーとノックされて解錠した。 「どうしてシオンはドアロックしちゃうの? いつも締め出された感があって嫌なんだけど」 と主人が文句を言うので、私は説明した。 「犯罪ドラマを見ていればわかると思うんだけれど、ドアロックで防げる悲劇ってあるのよ。私と一緒に『クリミナル・マインド』観てたならわかるでしょう? ロックしていなかったがために犯罪者に車に乗り込まれる話が」 「ごめん覚えてない。でもドアロックしてると川に落ちた時に助からないよ?」 と主人が言うので、 「川に落ちる確率と車に乗り込まれる確率とどっちが高いと思う? 私は断然後者だと思うの。世の中には我々が想像する以上におかしな連中が」 と畳みかけようとしたところで、主人が突然思い出したように話し始めた。 「そういや学生時代……」
今から三十数年前、主人が大学生だった頃の事。 格安で買ったおんぼろ車の助手席に友人を乗せ、土砂降りの市街地を走っていたのだが、交差点で信号待ちをしていたところ、後部ドアがいきなり開いて、人が乗り込んで来た。 なんと、全く知らない老婆であった。 「いやーこの雨で参ったけど、丁度いい所に車が停まってくれて助かったー。ちょっと〇〇(郊外)まで頼むわ」 「嫌ですよ、僕達そっち方面には行かないんです。バス停までは送りますから、後はバスに乗って下さいね」 そう主人は即答して、最寄りの屋根のあるバス停で、不満そうな老婆を降ろしたのだった。 老婆が降車してから、それまで身動ぎもせず一言も口を利かなかった友人が、漸く口を開いた。 「お前、凄いな……。俺、怖くて声が出なかったよ。突然知らない人が乗り込んで来るなんて吃驚した。今のお婆さんって本当に生きてる人?」 そう言って後部座席を確認すると、座面も背凭れも、ぐっしょりと濡れていた……外は煙るほどの土砂降りだったからな。
「うわー、そういやそんな事があった!」 と記憶の蓋が開いた主人に、 「ほらね! 貴方川に落ちた事は無いんでしょ。ならやっぱり確率的に、乗り込まれる方が高いのよ。従ってドアロックは必要という結論で宜しいですね」 と締めた訳だが、折しも茨城県東茨城郡大洗町で全裸のインドネシア人が徐行中の軽自動車に突進、ドアを開けて運転手に殴りかかるという事件が。 という訳で、やはりドアロックは必須という結論に達したのであった。
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