主人が先日、知り合いの子供に会ったそうだ。 以前から優秀だったが、現在は某旧帝大の学生で、海外の留学先から帰国したばかりという事もあり、土産話を聞かせてくれたという。 外人は、大抵何かしらの宗教の信者である。 留学先は中東で、イスラム教徒の学生が多かったそうな。 日本では政治と宗教と野球の話はタブーと言われるが、当然向こうは違う。 「君はどこの信者?」と訊かれたので、特に信仰している訳でもないけれど、無宗教だと答えると色々と面倒らしいと聞いていたため、取り敢えず仏教徒だと答えると、そこからが大変だった。 「仏教徒は仏像を拝むんだろ? 偶像崇拝イクナイ!」に始まり、あれやこれや宗教議論を吹っ掛けられたという。
そもそも、仏教は宗教ではない。神を信じて崇拝するものではなく、どのように生きるべきかを説いた哲学である。 仏像は仏の像、つまり悟りを開いた仏陀の像であり、神ではないから偶像崇拝ではない。 信者は彼のように悟りを開きたいと願うから、仏像に頭を下げるのだ。師を敬って頭を下げるのと同じである。 大体、お前んとこのイスラム教が偶像崇拝を禁じているからって、その価値観をこっちにまで押し付けんな! 人間50年も生きればそれぐらいの知識というか雑学は身に付くものだが、未成年の彼には無理であった。 宗教なんて興味無いから知識も無いし、面倒だから仏教徒だと答えただけなのに、こんな事になるなんて。 正直、クッソ面倒臭え……!と思ったそうである。 そしてしみじみ思ったという。宗教に関して曖昧な日本は、なんて素晴らしい国なんだと。
最近の若者は内向きで、海外に出て行こうという気概が足りない!と若者の気質を心配する声が老人から聞かれるが、若者の気質の問題だけではないと、彼等は何故気付かないのだろう。 日本ほど、食べ物が美味しくて治安が良くて衛生的な国は無い。 レストランでチップを取られる事も無いし、言葉も通じる。これ以上の国は無い。 寧ろ、海外が以前ほど魅力を持たなくなったという事ではないのだろうか。 知らない子だけれど、彼が若いうちに外国に行って、日本の素晴らしさに気付けて良かったと思った。
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