偽ベートーベンの暴露記事読みたさに、週刊文春買っちゃったよ! 週刊誌なんてオッサンの読み物など、滅多に買わないのに。 ゴースト・ライターの記者会見では語られなかった事も書かれていて、これは久々の大物登場という感じがする。
佐村河内という珍しい名前を初めて知ったのは、昨年の春に放送されたTV番組であった。 例のNHKスペシャル「魂の旋律〜音を失った作曲家」という、全聾設定の作曲家の宣伝番組である。 なんか面白そうなのやってるよと、最初から全部、夫婦一緒に見た。 耳が聞こえないなんて大変だなーと思いながら見ていたが、耳鳴りを追い払うために壁にゴンゴンと頭を打ち付ける場面で、違和感を覚えた。 何年も前だが、うちの主人も一時的に難聴を患った事がある。ただでさえしんどくて頭痛がするのに、そんな事したら余計具合が悪くなる筈。 それと、アイディア・ノートというのかネタ帳というのか、びっしりと五線譜のようなものが書き込まれた帳面も、何だかおかしいと感じた。 創作ノートだったら、後で見返して解らなければ意味が無い。これじゃあただの落書きだよねえ、と主人と話した気がする。 しかしまさか、天下のNHKが、皆様のNHKが、嘘の番組を放送する訳が無い。そう思っていた頃が私にもありました。 だから、気分転換の落書きなのかしらね、などと理由を見付けて納得したのだった。 それに、肝心なのは音楽である。作曲家の評価は作った曲でのみ下されるべきである。 私はクラシック音楽は好きだが、現代曲の事はさっぱりわからない。(註:好きなだけで、他の時代の曲もわかっている訳ではない) なので、現代曲にも通暁している主人に訊いてみた。この曲って凄いの?と。 「騒がれるほど特別なものは感じない」と主人が言ったので、じゃあ大した事無いのね、とそれっきり忘れていた。
それが今回の騒動ですよ! すっかり忘れていたけれど、番組を見た時の違和感が洗い流されたような、すっきりした気分である。 件の番組では専門家が絶賛していたけれど、作曲者のドラマに流されず、正しく音楽のみで判断したうちの主人は、やはり素晴らしい。 「貴方の耳は確かだったわね。やっぱり貴方は、騙されるより騙す方が似合ってるわ。髪の毛もボサボサに伸び放題で、無精髭も佐村河内っぽいし、もういっそ第2の佐村河内で売り出したらいいんじゃないの?」 私がそう褒めたところ、主人は憤慨して、 「酷い! 何て事言うんだシオン」 と言って、目を瞑って胸に手を当てた。
鼻にお茶が入ったじゃないか! アホな事やってないで、早く床屋行けよ!
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