「明日は七夕です」 とTV番組のキャスターが言ったのを聞いて、主人が呟いた。 「シオンは七夕より棚ぼたが好きだよね」 その通りですよ! 一昨日も、また数字選択式宝籤を外した私が、手許の票と当籤番号を見比べながら考え事をしていたら、突然主人が 「シオン何ぶつぶつ言ってるの」 と言うので驚いた。 「いや、何も言っていないよ。考え事はしていたけれど」 実際私は、真一文字に引き結んだ唇に強く指を押し当てていたので、言葉を発した訳が無いのだ。 なのに、主人には何か聞こえたらしい。 またか。また特殊能力か。 「あのさあ。勝手に人の考えを読み取らないでくれる? プライバシーの侵害だと思うのですが」 と一寸イラっとして主人に言うと、奴はまた口答えをした。 「だから読んでいないって。勝手にシオンが思考をだだ漏れにしてるんでしょ。ほらまた、パカッとおでこ開けちゃって」 んな訳無いだろー! 何故! 何故その特殊能力を、数字選択に使ってくれない……。
そして昨日は、本当におでこを割ってしまうところであった。 家の中で気分転換にストレッチをしていたら、特に無理をしていた訳でもないのに、脚の付け根が突然バキッという物凄い音を立てたのだ。 吃驚して、あわわわと思いながら音のした辺りを摩っていたら、視界が暗くなり、耳鳴りがして、意識が遠のき始めた。 死の予感こそしなかったが、ヤバいこのままでは意識を失うと思い、必死で立て直そうとしたのに。 救急車を呼ぼうか、しかし呼ぶほどの事か? 呼んでも玄関の鍵を開けなきゃいけないし、玄関まで辿り付く自信も無い、仕方無いから主人に電話するか、本当は嫌なんだけれどなあ、主人は仕事中だろうし(例に漏れずこの土日も出勤)、危機的状況なのに救急車呼ばずにまず身内に電話する女って馬鹿だと思っていたから、これでは私もその馬鹿の仲間入りをしてしまう……。 と考えながら携帯電話を探したものの在り処を思い出せずに、仕方なく家電の子機を手に取った所で、気が付いたら何故か子機が床に転がっていて、椅子も倒れていた。 ほんの僅かな時間だと思うが、気絶していたらしい。 番号は覚えていたので主人の携帯に電話して、具合が悪いから夕食はレトルトのカレーで勘弁して、と伝えた。 視界は元に戻ったが、テレビの砂嵐のノイズのような耳鳴りは、暫く続いた。
朝から暑くて食欲が無かったので、水分だけは摂っていたものの碌な物を食べていなかったから低血糖でも起こしたのかと思ったが、 吃驚して神経が迷走したんじゃないの?というのが身内の医療関係者の見解であった。 病院行かなくても大丈夫だよ、と言われたので、週が明けても行かない事にする。 そして私に何かあったら、そいつに慰謝料請求するようにと主人に言っておいた。
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