午前中は養生のために昼近くまで寝て、そのまま主人は家の中でぐだぐだと過ごしたかったようだが、どうしても買わなければならない物がある。 なので渋る主人を説き伏せ、一緒に出掛けた。 目的の物は主人の仕事着。紳士もののスーツである。 3箇月前に仕事中の主人と合流して昼食を一緒にした時、彼のスーツを陽光の下で見て、私は愕然とした。 肘やお尻の辺りの生地がすっかり擦れて、テカテカに光っているではないか。 これはかなり恥ずかしい。すぐにコートを被せてやりたくなったぐらい。 彼のスーツ姿は毎朝毎晩見ているが、室内灯の光ではちっとも気付かなかった。恐るべし太陽。 それからというもの、買い換えようよとずっと言っていたのだが、なかなか休みが取れなかったのと、本人が今季はこのままでいいと言うので放っておいたのだ。 それが先日、職場の若い子から「春さんのスーツ、テカテカ〜」と言われて、流石に買い換えようと思ったらしい。 良かったね、指摘してくれる人がいて。大人な同僚だったら気を遣って、なかなかそんな事言ってくれないよ。
テカテカに着古したスーツを引き取って貰い、2着目1,000円だというので2着買った。 それでもかなりの出費になったが、仕方が無い。普段着やジャージで仕事に行く訳には行かないのだから。 会計を待っている間、2人で他愛の無い話をしていたら、何故か近くにいた若い女性店員が声を立てて笑った。話が聞こえていたらしい。 私達、何か面白い事でも言ったかしら……思い当たる節が無いのだが。 そう言えば、去年関西で小規模オフ会した時も、ネトゲ仲間に笑われたな。なんでも、夫婦漫才みたいだとか。 挙句に、 「春さん夫婦って、本当に関西の人じゃないの? 本当は大阪人じゃないの?」 とまで言われる始末……ええー? 大阪嫌いな主人は、内心複雑だったらしい。でもきっと、話が楽しいと褒められたんだと思うよ!
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