主人の仕事が休みだったので、2人で遠出した。 所用もあったのだ。しかし主人が肝心の書類を忘れたため、本日は入金のみ。書類は後日、私が届ける事にする。 立ち寄った事務所のすぐ傍には、マンションのモデル・ルームがあった。 この後は義妹の住居に寄る予定だが、まだまだ時間があるので、ふらりと入ってみる事にした。 一応予約が要るようだが、無くても入れて貰える事は知っているので、エヘヘヘ済みませんねえという風を装って、一通り見せて貰った。 私よりも、付き添いの主人の方が、頻りと「いいなあいいなあ」を連発していた。特に書斎に惹かれたらしい。 前から自分の部屋が欲しいと言っていたものね。賃貸物件は部屋数が少ないから、結婚してから1度もその夢は実現した事が無いのだけれど。 でも、私が貴方の部屋に入り浸っちゃうから、書斎があってもあんまり変わらないと思うよ?と私が言うと、彼はがっくりと項垂れていた。 それにしても、新しい建物は綺麗だし、今時のマンションは部屋も広く取ってくれるからいいよねえ。 こんなおうちに住みたいわあ〜という憧ればかり大きくなるが、実際はねえ。 立地もいいし、お金も何とかなるけれど(田舎だから安い)、買ったところでいつ住めるのやら。 転勤族だからね……。 宝籤当ててさっさと退職したらと主人に勧めるも、仕事はそれなりに楽しいらしいので、定年まで勤めたいと言う。 世の中には、食べるために好きでも楽しくもない仕事をしている人もいるのだから、うちの主人は恵まれているのだろう。 そう言えば、主人の親もそうだった。 「多分あの人達、好きな事をやっているだけで、仕事をしているという感覚が無いんじゃないのか?」と主人が言うほど、70を過ぎた今でも楽しそうに仕事をしている。 それで儲かっていれば本当に凄いが、残念な事にトントンらしいんだな、これが。 主人と同じで、お金に興味の無い人達だからな……。
パンフレットだけ貰って、モデル・ルームを後にした。 家を買うのはまだまだ先である。 それまでに宝籤が当たって、いい物件が出て来ますように!
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