山口美江が死亡した。享年51。 華やかな芸能界を去って早や幾年、寂しい晩年だったという。 晩年と言うには、若過ぎるけれど。 二十歳になる前に母を亡くして父1人子1人だったから、芸能界を引退してお父さんの介護に尽くした彼女を数年前に久し振りにTVで見た時には、その劣化の激しさに驚いたものだ。 たった1人の家族だから、介護は苦にならないと言っていたけれど、それがどれだけハードなものなのかが容貌の変わりようから見て取れた。 特に好きなタレントでも何でもなかったけれど、他人事ながらショックだった。 若い頃はあんなに綺麗だった人が、当時まだ40台だというのに、おばあちゃんみたいになっちゃって。 お父さんはどう思っているんだろう、可愛くて輝かんばかりに美しかった自慢の娘が、自分のせいで嫁にも行かないままにこんなんなっちゃって。 清水ナントカいう自殺した女性タレントもそうだったけれど、老親の面倒で人生を食い潰されて死ぬというのは、悲惨な事だ。 親孝行は美徳とされるけれど、ここまで来ると、ただの不幸である。 子供の不幸は親の望むところではないと思うんだけれどなあ。
山口美江死亡報道を一緒に見ていた主人が呟いた。 「それに比べて、シオンは思ったほど劣化しなかったな」 劣化てアンタ、本人の前で言うかそれ。 そりゃ私は、苦労らしい苦労はしていないからね、有難い事に。 男は年老いても金さえあれば若い女が寄って来て子供も作れるけれど、女はそうは行かないからな。 女は年取ったら終わりだよな、と思った。
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