うちの主人は、超能力者だ。
寝る頃になってふと気になって、パヤパヤ♪って何の歌だっけ?という話になり、主人が歌い出した。
♪やめてけれ やめてけれ やめてけーれ ゲバゲバ やめてけれ やめてけれ ゲバゲバパパーヤ ラララランランランラララゲバゲバ ランランランラララゲバゲバ どうして どうして ゲバゲバパパーヤ おお神様 神様 助けてパパーヤ♪
違う、その歌じゃない! パヤパヤ違いだよ!と布団の中で笑い転げる私。 「知らない? 左卜全だよ」 「歌は知ってる。一緒に観た『山形スクリーム』(映画。しょうもなかった)に出ていたよね。でも左卜全って……」 こないだNHKのドラマでやっていたよなあ、と主人に背中を向けたまま考え込む私に、主人が言った。 「違う、それは塚原卜伝。剣豪でしょ」 ! 「また! 貴方、また私の頭の中を覗いたでしょ!!」 「そんな事出来る訳無いじゃん。今シオンがそういう顔をしたんだよう」 いやいや、していても見えないから。 部屋の中は真っ暗で、私は壁を向いていたのだから、ただでさえ目が悪い主人に私の表情が見える訳が無いのだ。 (因みに私が探していたパヤパヤは、ザ・ピーナッツの歌だった)
今日は今日で、私がストーブに給油する間に主人にお米を研いでくれるように頼んでおいたのだが、部屋に戻って来ても台所はそのままになっていた。 「まあ仕方ないか。貴方はお仕事なさっているんだし」 と諦めてお米を測って研ぎ始めると、主人はPCに向かったまま、こう言った。 「いやいや、そういう訳には。シオンにばかりやらせちゃ悪いから、僕も何かするよ。何でもするから言って」 何でもする、か。 「じゃあねえ……」 と言って、よからぬ事に考えが及ぼうとしたその時。 主人が口を開いた。私に背中を向けたままで。 「駄目。それは駄目」 「何よ! 私まだ何も言っていないじゃないの」 「いや、言った」 「『じゃあねえ』しか言っていないよ! また勝手に人の頭の中を覗いたわね!」 「そんな事出来る訳無いじゃん〜」 「じゃあ私が直接貴方の頭の中に語りかけたとでも?」 「そんな気狂いみたいな事、言えないよう」 じゃあ何なのよ!
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