ある日、床で作業をしていて、スティックのりを横倒しにして置いていたら、コロコロと転がって行った。 普通に生活する分には全く判らなかったが、もしかして床が傾いているのか? しかし我が家には、TVの欠陥住宅特集では七つ道具としてお馴染みのビー玉が無い。 パチンコするような人間のクズもいないので、パチンコ玉も無い。 これこれこういう次第で、球形の転がる物、無いかなあ。 そう主人に訊いたら、プチトマトでやってみれば?と言うので、冷蔵庫からプチトマトを取り出し、蔕を取って床に置いてみた。 つん、とつついてみると、一寸転がったものの、頭を下にして停止してしまった。 プチトマトじゃ駄目じゃん!
一旦気になったものは仕方無い。 意を決して百円ショップに行き、ビー玉を1袋購入した。悔しいけれど、105円の出費である。 仕事から帰宅した主人に、買って来たよ!とビー玉を見せて、部屋の中央にごそっと置いたら、 コロコロコロ…… 「走った! ほら、やっぱり傾いてたよ!」 興奮気味の私に、主人がかけた言葉は、 「で?」 であった。 「傾いているのは判ったけれど、どうしようもないよね。日常生活に支障は無いし、賃貸だし」 「そうだけれど! いいじゃない、私がやってみたかったの!」
他に使い途の無いビー玉は、再び袋に戻され、抽斗の中で眠りに付いた。 次に活躍するのは、数年後の転勤に伴う物件探しの時か?
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