薬が切れる前に、病院に行った。 今通っているのは大きな総合病院ではなく、個人経営の医院だが、評判がいいのかいつ行っても馬鹿混み。 なので、なるべく朝早くに行くようにしている。 1週間の中でも最も混雑しそうな月曜日と金曜日は避けいところなのだけれど、薬が無いので仕方が無い。
早くに行ったお蔭で、駐車場も空いていたし、割とすぐに診て貰えた。 まあいつも通り、医者は早口でさっさと終わらせたい感がありありだった。 これだけ繁盛していれば、さぞかし儲かっているんだろうなー。
診察が終わって、雑誌を読みながら会計の順番を待っていると、ヘンなのがいた。 ジジイではないが、小汚い格好のせいもあり、年齢不詳なおっさん。 そいつがずーっと、会計係の女の子に話しかけているのだ。 俺こないだどこそこに行って来たんだ、今度一緒に行かないか……とか、それってデートに誘っているつもり? 女の子の方は明らかに迷惑そうであるが、患者様相手にはビシっと言えない様子。と言うか、あの年齢ではまだそこまでの経験値は積んでいないだろうから、致し方無いか。 何々さん、幾ら幾らになります、と会計業務をこなしながら、男の独り言の相手をこなしていて、とても気の毒だった。 カウンター内には何人も同僚がいるのに、誰一人として助け舟を出してくれないのな。 女性ばかりだが、皆ターゲットが自分じゃなくて良かったと思っているのだろうか。怖い職場だ。 私の名前が呼ばれたので彼女の前のカウンターに立ったら、ぺちゃくちゃと喋り続けていた男はすっと横にどいた。 そして他の患者の会計の間は黙っており、会計が終わるとまた彼女の前に陣取り、話の続きを始めるのだ。 こりゃーウザいわ。 あーあ、どうすんのかね……と財布と処方箋を鞄に仕舞いながら見ていると、やっと助け舟キター。 同僚のオバサンが、彼女に他の仕事を与えて、カウンターの奥に逃がしてやっていた。 そして男には「キモいんだよお前」とは言わず、「混んで来たからまたね。お大事に」と体良くあしらって追い出していた。 もう少し早く助けてやってよオバサン……。 でもきっとあの女の子は、後でオバサンに「貴女ももう一寸しっかりなさい。あれぐらい自分で対処出来なきゃ駄目よ!」とか言われるんだろうな。 まあ頑張れ。
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