おしどり夫婦って何だろう。 喧嘩ばっかりしていても、ちっとも別れない夫婦もいれば、仲良しに思われていたのに離婚する夫婦もいる。 うちはよく「仲良しだね」と言われるが、おしどりかどうかは微妙だと思っている。 でも少なくとも険悪ではないかな。
小林聡美と三谷幸喜が離婚した。 結婚期間は16年だったそうで。 「これといったはっきりした理由は無い」と本人達は言うが、理由が無くて離婚などしない筈。 早い話、好きじゃなくなったから離婚するので、どちらかがうんざりしたのだろうと思われる。 何年か前に小林聡美のエッセイを雑誌で読んだが、一緒に旅行する予定だったのが、直前になって夫が行きたくないと言い出したので、あっそうと1人で飛行機に乗ったという話が書かれていた。 キャンセルの理由は、仕事でも葬式でもなく、「行きたくない」というだけだったそうで、随分な亭主だなあという感想を持ったものである。 それで臍を曲げるでも喧嘩するでもなく、淡々と1人で予定通りに行動する妻にも驚いた。心が広いというか、なんと言うか。 今思えば、夫に対して諦観していたのだろうな。 そんな事が十数年も続き、「この夫、要らないんじゃ……」という結論に至ったのではと、下種は勘繰ってみた。 「おしどり夫婦が離婚」と報道され、2人の事をよく知らない一般人も吃驚したが、やはり夫婦の事は外からではわからないものだと思った。
伝え聞いた話によれば、夫だった三谷幸喜は、妻を驚かせようとパンツ一丁で玄関前(当然内側だろう)で帰宅を待ち構えていた事もあるとか。 パン一で30分も待っていたりはしないけれど、似たような事は私もあると思い当たった。 押入れの中やカーテンの陰に隠れたり、床に倒れて死んだ振りとか時々やって、主人にスルーされる。 仰向けだとぷくくと震えてしまって死んだ振りにならないので、俯伏せに倒れているのだが、そうすると背中を踏まれて「ぐええ」と声が出てしまう。 「あ、生きてる生きてる。さ、ご飯にしようね」 「違うよ! 今のは死後硬直で中の空気が」 「死体が喋ったー」 という有様で、奥さんが倒れていてもちっとも心配してくれない。 うちの主人はこうして遊んでくれるのだが、パン一で待っていても奥さんにスルーされたとしたら、三谷幸喜は相当寂しい思いをしたのではないだろうか、と一寸思った。 でも、旅行をドタキャンされた奥さんも相当寂しかったと思うから、その辺はおあいこか。
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