自他共に人でなしと認める私だが、そんな私ですら人でなしだと思った話。
部活の最中に被災し、ただ1人生き残った生徒がいた。 津波に遭って建物に押し潰され、身動きが取れなかったその子は助けが来るまで、友達の死体の上で過ごしたそうだ。
大人でも普通にきつい経験だ。 思い出したくないだろう。 本人も語りたがらないし、こういう時は、無理に話させたり思い出させたりしてはいけないと、その道のプロも言っていた。 それなのに、しつこく話を聞きたがる連中が。 マスコミである。 そりゃこういう刺激的な話は、ネタとして欲しいだろう。 しかし本人の気持ちを考えたら、話を聞かせて欲しいなんて言えるか? 何度断っても彼等はしつこくやって来る。 流石に授業中に学校内に入っては来ないが、主に部活の時にしつこく訊かれるらしい。 余りにしつこいので、隣町に練習場所を変えたが、それでもどこからか嗅ぎ付けてやって来るのだそうだ。
この話を聞いて、流石の私も怒り心頭である。 人でなしの私が認定してやる。 こいつ等は更に人でなしだ。 これは、学校から正式に新聞社に抗議を申し入れてもいいレベルだろう。 人の心の傷を抉るような真似をするなんて、人間として最低だ。
時間はかかるだろうが、この子が辛い経験を乗り越える事が出来るようにと願わざるを得ない。
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