今年も、主人の誕生日がやって来た。 二十歳まで生きられるかどうかと医者に言われたほどの虚弱児だが、既に倍以上生きている。 大人になっても虚弱だが、これでもだいぶましになったらしい。
そんな虚弱中年に、誕生日ケーキを買った。 と言っても、2人暮らしなのでホールケーキではなく、地元のケーキ屋で買ったショートケーキである。 蝋燭も立てる?と訊いたが、要らないと言う。 尤も今家にあるのは、震災の時に貰って来た普通の蝋燭、しかも使いかけのやつだが。 夕食後に紅茶とケーキを出し、お誕生日おめでとう、と主人に言った。 折角なので歌も歌おうかと申し出たのだが、それも要らないと言われたのである。 そしてケーキを一口食べた主人が、何やら声をあげた。 どうした!?と思って顔を向けると、ケーキを口に入れたまま、目を丸くして固まっている。 そしてもぐもぐしてから一言、 「美味い……!」 今まで一緒に色んな物を食べて来たが、こんな反応は初めてである。それだけ美味しかったという事か。 確かに美味しいのよね、ここのケーキ。 田舎のケーキ屋なのに、クオリティは高い。 でも1切れが小さい上に、お値段も高いのよ……なので滅多に買えない。
私からのプレゼントも届いた。 事前にネットで手配しておいたのである。 「何かな何かな〜」 と言うので、 「プとラとダがつく物だよ」 とヒントを教えておいた。 正解は、越後製菓!ではなく、亀田製菓。 主人の好物である。
嘘は吐いていないよ!
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