同じ福島県民でも、東京電力の原発の恩恵を受けていた自治体と、そうでない所の住民とでは、かなりの温度差があるらしい。
原発直ぐ傍の住民はずっと原発の恩恵を受けていて、今回も危険だからとすぐに避難して援助の手が差し伸べられたのに対して、20km或いは30km圏内の住民達は屋内退避で物資援助も無く、完全にとばっちりを食った訳である。 そのため、後者は前者に対して怒りを露わにしているのだとか。 その中にはやっかみも混じっているかも知れない。 そんなニュースをどこからか仕込んで来た主人が、 「酷い話だよなあ、同じ福島人なのにそんな事言うなんて!」 と、20〜30km圏内の住民を非難していたので、私は驚いた。 「へ? 何で? そんなのあったり前じゃん。周辺地域住民は地元にお金が落ちた訳でもなく、なのに放射能が危ないから家ん中に引っ込んでいろって兵糧攻めにされて、気の毒過ぎるわよ。そら怒る気持ちも解るわ。福島以外の東北人だって、福島に対して同じ気持ちを抱いてるんじゃない? お前等が東京電力の原発なんかを受け入れるから、東北全体が迷惑しているんだって」 と私が立て板に水の勢いで捲くし立てると、主人はぽかーんとしていた。 「シオンはそういう人なんだね……」 結婚してだいぶ経つのに、何言ってんですか今更。
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