2011年04月16日(土) |
NHKにはがっかりだ |
NHK「マイケル・サンデル 究極の選択」大震災特別講義を見た。 日本、アメリカ、中国の一流大学の学生達に、ハーバードのサンデル教授が特別講義を行うという事で、割と楽しみにしていたのだが、日本チームの偏差値の低さにかなり失望した。 何を考えているんだ、NHKは。 日本チームだけは何故か大人4人が付いていたのだが、まるで意味がない。寧ろマイナス。 高橋ジョージ、高畑淳子、石田衣良って……民放のワイドショーかと思った。 しかも何故、ジャパネットたかたの社長がNHKに? NHK的に、民間の会社の宣伝に繋がるような事はNGなのでは? 義捐金5億出したとまで言っていて、これは宣伝にしか見えない。 学生達もゆとり揃いで、アメリカや中国と比べて、遜色が甚だしい。 何故、一体NHKは何を考えて、何を狙って、この人選にしたのだろうか。 「高橋ジョージやこのおばさんより、キッチュを出して欲しかったなあ。こういう番組には知的な人を出さないと意味がないよ」 と主人が言うので、私も同意した。 「松尾貴史か。あの人ならいいかもね。高畑さんは好きな女優さんだけれど、こういうのは向かないわ。こんな人達出すぐらいなら、私が出て、サンデル教授と直接対決したかったわ」 「いや、これは対決する番組じゃないから……」
講義では、日本では何故、ハリケーン・カトリーナの時のような暴動や略奪が見られなかったのか、という話が出た。 中国人学生から、それは日本だけではない、根底に儒教精神があるから中国だってそれぐらい出来ますよ、みたいな話も飛び出したが、概ね、日本人は統率が取れていて素晴らしいというような流れであった。 しかし、私が思うに、それは違う。 日本の田舎はムラ社会だ。 幾ら非常時でも、皆と違う行動を取れば、ムラでは暮らし難くなる。 人の目があるから、列ではきちんと並び、問題行動は起こさない。 今回の震災では、日本でも火事場泥棒が出た。だが恐らく、多くが余所者による犯行だと思われる。 自分の属するコミュニティでその様な事を行えば、今後そこでは暮らせなくなるからだ。 そんな事を考えながらTVを見ていたら、主人が、そうかわかったぞと言った。 何が解ったのかと思ったら、 「シオンの考え方は、西洋的なんだな」 と言う。 自分では保守派だと思っていたので、私は驚いた。 「どこがよ」 「シオンは他人は他人、自分は自分。自分の事は自分で何とかしようという考えでしょ。津波が来ても、他の人は放っておいて、1人ででも逃げようと思っているんだよね」 「そらそうよ。だって語り部の婆ちゃんが言ってたじゃん、『津波が来たら、命はてんでんこ』って」 それに私は行き過ぎた福祉は大嫌い。自分の面倒は自分で見ようぜ。 平等なんて幻想。余所は余所、うちはうち。 他人の評価を気にして生きていたって、楽しくない。 特に先月の大地震で死を身近に感じてから、その思いは強くなった。 評価のために周りを気にして生きるなんて、馬鹿馬鹿しい。 「それは個人主義だ。でも僕は、自分の居場所を獲得するために、自分が居心地良くいたいがために、他の人にも手を差し伸べるんだよ。これが日本的なやり方」 いつも通り言い包められそうになったので、慌てて反論した。 「待って。そこだけを取り出して『個人主義』と言われても困るんだけれど。私は個人主義者じゃないし、どちらかというと全体主義者だよ。自分だけが良けりゃ他人はどうでもいいなんて思わないし、略奪なんてしませんけれど」 「そうだけれどさ。でも大雑把に見て僕と比較してみたら、シオンはそういう意味で西洋的だと思ったんだ。僕達2人の考え方の違いが判って、スッキリしたよ」 主人は1人でスッキリして風呂に行ってしまったが、残された私は何だか釈然としないのだった。
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