私は人を殺した。
追っ手が迫る中、私はとある屋敷の庇の陰に隠れていた。 普通に軒下に佇んでいたのでは見付かってしまうので、文字通り外壁に貼り付き、姿を隠していた。 それでも人に見付かってしまった。 知らない男だ。百姓の格好をしている。 私は壁に立て掛けてあった竹を手にした。少し細いが程よく撓り、先が斜めに切れているので丁度いい。 竹槍を目の前に突き付けると、男は慌てて逃げようとした。 追っ手ではなく、ただの百姓なのか。 しかし顔を見られた。 追っ手に問われれば、私の事を話してしまうかも知れない。 私は迷わず、口を封じる事にした。 逃げる男の背中を、竹槍で一息に貫いた。
敷地内で顔を見られた者は、男も女も殺した。 その数、片手では足りぬ。 逃げなれば。早くこの場を離れて、足跡を消さなければ。 小雨が降っている。 私は門に引っ掛けてあった傘と蓑を身に着けた。 片手には杖代わりの竹槍を持ち、心の臓を守るための瓦を1枚懐に入れて。 やはり瓦では重過ぎる。 どこかで鎖帷子を調達しなければ……。 早足で歩きながら、そんな事を考えた。
なんつー夢だ……。 こんなに寝覚めの悪い夢は久し振りだ(苦笑)。 起きてからも、槍で人間を貫く感触が手に残っているし! 自分が怖いよー! 夢の話を正直に主人に話したら、 「それはシオンの願望なんじゃないか」 と言われた。 そして完全否定も出来ない私(何 でも多分違うと思うの! 願望じゃなくて、わうわうで映画「カムイ外伝」の予告を見たからだと思うの! きっと私は抜け忍で、追い忍に追われていたのだと思えば辻褄が合うと思うのー!
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