今年も主人の実家から、栗が送られて来た。
激しく要らないんですが。
栗は、食べるのは嫌いじゃないが、調理が嫌い。 売り物ならまだいいのだろうが、これは裏山で拾った物である上に、一度に拾い切れずに何日にも亘って溜めた物だと思われる。 つまり、かなりの確率で、中に虫が巣食っているのだ。 栗なんて、茹でてスプーンで掬って食べれば簡単なのだが、刳り貫いたら虫の屍骸が……!という事になるのが非常に嫌。想像しただけで鳥肌が立つぐらい嫌。 かと言って、面倒だから送って来んなとは言えない、弱い立場の嫁。 でも、主人の実家から送られて来るのに、毎年私が手を煩わせなければならないというのは、如何にも理不尽だ。 ここで、鬼嫁の本領発揮。 「貴方の実家から送られて来たんだから、貴方がやってよ。私は嫌だからね。虫も嫌いだし、手は痛くなるし、私が頼んで送って貰った訳でもないのに栗の皮剥きだなんて、真っ平御免だわ」 主人は勿論乗り気ではなかったが、私にやらせるのは無理と悟ったらしく、 「じゃあ僕がやるよ……」 と渋々台所に立ったのだった。
流石の鬼嫁も、独り黙々と作業を続ける主人が可哀相になり、 「手伝おうか?」(手伝う=あくまで主役は主人) と途中で声をかけたが、 「いや、いい。ここでシオンの手を借りたら、自分が駄目な奴になってしまうから」 と決意の程を見せてくれたので、じゃあそこまで言うなら最後まで頑張れと、その間ずっと私はPCでゲームを続けたのだった。
剥き上がった栗の半分は栗御飯、残り半分は甘露煮になりましたとさ。 美味しかったけれど、休日の午後は栗の皮剥きに費えてしまったのだった。 お蔭で、奥さんはどこにも連れて行って貰えなかったよ! ちゃんと食べたよと報告の電話でもしたら、と言うと、嫌々ながらも主人は自分の実家に電話をしていた。 もう面倒だから送って来なくてもいいと言うかと思いきや、美味しく食べたというだけに留めていたので、来年もきっとまた来るんだろうな……(溜め息)。 ま、来たら来たで、また主人に剥かせればいいだけの事か。
|