私のくしゃみはいつも大音量。 「シオン、アパート中に聞こえるよ……」 といつも主人に言われる。 うん、小さいくしゃみをするコツは息を吐き出してからする事だとは聞いているんだけれどね、それじゃあくしゃみした気がしないのよ。
今日は2人でデパートに行った。 そろそろ仲人さんにお中元を贈らなければ。 地下の食品売り場は、とても涼しかった。 いきなり冷気に触れて、鼻がヒクヒクした。 「う、うえええ……ええ〜くしょい! えーくしょい!」 息を吸い込む暇も吐く暇も無く、心の準備も出来ないまま、立て続けにくしゃみが出た。 主人から指導が入る。 「うええじゃないでしょ。もっと静かにしなさい。お店のおじさんが、ぷぷって顔でこっちを見ていたよ……」 「ご、ごめん」 鞄からごそごそと鼻紙を引っ張り出し、洟をかんだ。 「シオン、くしゃみが出そうになったら、鼻の付け根を押さえなさい。そうすると、くしゃみが出なくなるから」 えー、くしゃみ止めちゃうの……それじゃあスッキリしないんだけどな。
使用済み鼻紙をごみ箱に捨てて、別の売り場に来た所で、またくしゃみの波が襲って来た。 「うええ……」 となったところで、主人がいきなり私の鼻をつまんだ。 「だーかーらー、ここを押さえなってば」 今度は、お客のおばさんに失笑された。 うう……くしゃみ止まっちゃったよ。
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