主人が、 「今度の○日、どこかに食べに行こうか」 と言った。 突然の事に驚いて、私はカレンダーを見ながら訊いた。 「○日って、何曜日? どうしてその日? 何かあったっけ?」 と、ここまで言って、思い出した。
結婚記念日だ。
あっ……と主人の顔を見ると、横目でじと〜っと私を見ていた。 「結婚記念日、覚えていてくれたのね。ありがとう〜」 と言ってみるも、 「シオンは忘れていたんだね。ふーん」 と、冷たい返事。 「い、いや、忘れていたんじゃなくて。結婚記念日は何月何日?って訊かれれば、ちゃんと答えられるよ!」 焦る私に主人は、呆れたように言った。 「普通、こういうのって、夫よりも妻の方が覚えていそうなもんなんだがな……」 「そうね、ちゃんと覚えている貴方は偉いわ。素晴らしい夫よ! でもさ、私も、いちいち『付き合い始めた記念日』とか『初デート記念日』とか、矢鱈記念日を作りたがるウザい女よりはずっといいと思わない?」 そう私が同意を求めたのに。 「さあ……どうかな」
ええ〜っ。 拘り過ぎないのも駄目なのかよ。 でも、逆に言えば、それだけ日々の暮らしに満足しているって事なんだけどなあ。
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