ホテルを出て暫く歩くと、銀座の大通りに出る。 田舎の銀座通りとは格が違う。 本物の銀座通りだ。
松坂屋だの三越だの百貨店にも入ってみたが、 「貧乏人お断り」 という無言の圧力を感じ、長居が出来なかった。 これが主人なら、そんなの物ともせずに、目を輝かせて地下のお惣菜売り場巡りをした事であろう。 1階は化粧品臭くて、具合が悪くなりそうだった。或いは人酔いかも知れぬが。 前々から気になっていた、ロクシタンに入ってみた。 妹は、ここが甚く気に入ったらしい。 2人で片っ端からテスターをくんくん嗅ぎ、気に入ったものをチェックし、最後に買う物を絞り込む。 石鹸とシアバターと練り香水だけでも、結構な値段になった。こんなに小さいのに。 嗚呼でもね、私この石鹸が好きなのよ。 顔に使うのは皮脂を取り過ぎるから夏場でも厳しいけれど、いい匂いが気に入ってしまった。 体を洗う分には、つべつべして気持ちいいし。 ただ、高いので、これは普段使うオリーブ油石鹸が切れた時のための予備とする事にする。 練り香水も、ほんのりいい香りがする。 私は緑茶を、妹は桜の香りを購入した。 妹はこれがかなりヒットだったらしく、これに遭遇した時の目の輝きが違っていた。 2個目も買おうかな〜などと言っていたので、買うなら無くなってからにしなさい、と止めておいた。 何と言っても彼女の職場は、化粧品の匂いはご法度だからな。
我々は買い物に満足して、店を後にした。 店頭には、葡萄色をした大きい石鹸があり、これも綺麗だな〜と惹かれたのだが、匂いが。 見た目の通りに葡萄の匂いがする石鹸だったのだが、その匂いが半端ではない。フンガフンガ。 こりゃ具合悪くなりそうだな……と思うほど、強烈であった。 基本的に私は、匂いがきつい化粧品にかぶれる。多分、香料が合わないのだと思う。 すぐに洗い流すとは言え、肌に付ける物だし、石鹸もやはり匂いのきつい物は避けた方が無難だろう。
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