天上天下唯我独尊

2007年08月20日(月) 「残虐記」

本を買った。
文庫本だが、この私が、古本屋ではなく普通の本屋で買うなんて。
ハードカバーなら高いからと絶対に買わないが、新潮45シリーズのせいで、箍が外れてしまったようである。

題名に惹かれて買ってしまった「残虐記」。
桐野夏生を読むのは、「OUT」「柔らかな頬」に続いて、これが3作目である。
「柔らかな頬」と「残虐記」に共通するのは、「想像力」というキーワードだ。
作者が敢えて「推理」と呼ばないのは、それが当たっているかどうかが、最後まで明らかにされないからである。
そして、これらの3作品に共通するのは、主婦の失踪だ。
作者自身に逃走願望でもあるのだろうか。

亭主や子供を放り出して自分だけ逃亡しても、そこに幸せな未来が開けているとは、私には到底思えない。
今の世の中、普通に生きるにしても、色々と手続きが面倒だ。
そこから逃れて生活するという事は、日陰者になる事を意味する。
日の当たらない生活って、楽しいの? 一体何の魅力があるの?
私には、全く理解出来ない。
この人の話は、ドキドキして読み進めてしまうが、最後に残るのは、「それで?」という感想だけだ。
読後の清涼感や満足感は、得られない。
勿論、新潮45シリーズの比ではないが(笑)。


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春 紫苑 [MAIL]

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