天上天下唯我独尊

2007年07月29日(日) 木天蓼

アパート暮らしなので猫を飼っていないのだが、我が家には何故か、またたびがある。
ちょいと車で遠出をした時に、立ち寄った道の駅で、3本100円の小枝を買ったのだ。
何のために?と訊かれても、困るのだが……。

数は多くないが、近所で時々猫を見かける。
ある日、とっぷり日が暮れてから帰宅した主人が、
「隣りのアパートの裏で、子猫を見かけたよ。まだちっちゃかったから生まれて間もないと思うけれど、2匹いてさ、僕を見た途端に穴の中に、凄い勢いでモジョモジョモジョ!って入って行っちゃった。可愛かったよ〜♪」
と自慢(?)するので、私も子猫見る!と言い残して、外に飛び出した。
暫く探したが、暗かった事もあり、子猫らしきものは見付からなかった。
しょんぼりして家に帰り、
「猫いなかった……。ところで、穴の中って?」
と、飛び出す前に訊くべきだった事を訊くと、点検用か何かのメーターが埋まっているらしい土中の小さな穴の事で、蓋が開いてたらしい。
そんな穴があったとは知らなかったが、主人に聞いたその場所は、既に探してある。
私が行った時には、子猫達はどこかに移動してしまっていたのだろう。
残念だ。

そして今日の昼過ぎ、半日の仕事から帰った主人が、外に猫がいたよ、と教えてくれた。
チャンス到来。
子猫ではないらしいが、試してみる価値はある。
またたびの小枝を1本持って行くと、先客がいた。
小学校中学年ぐらいの男の子である。顔は知らぬが、近所の子だろう。
一応、こんにちはと挨拶して、先客が構っていた猫の顔先に、またたびを突き出した。
猫まっしぐら。というほどでもなかったが、食い付きは良かった。
文字通り、猫はまたたびに齧り付いたのだった。
「それ、何ですか?」
と男の子が質問したので、またたびだと答えた。
「猫、飼っているんですか?」
また男の子に訊かれたので、
「ううん、うちはアパートだから飼っていないの。この猫はあなたのおうちの?」
と訊き返すと、彼も違うと言う。
でも首輪をしているから、どこかのお家で飼われているのだろう。
もっと猫を構っていたかったが、今のご時世、知らない子と一緒にいるところをおうちの人に見られて、万一不審者扱いされるのも嫌なので、
「じゃあ、これ上げるわ」
と言って、すぐに帰って来たのだった。

その話を主人にすると、
「猫がまたたびに齧り付いて来たって? それ、反応おかしくないか? 猫って、またたび嗅がせるとゴロニャ〜ン♪ってなるんじゃないの?」
と不審がっていたが、本当なんだってば。
確かに私も猫が腰砕けになる事を期待していたので、正直肩透かしを食らった気分だったが、以前聞いた話では、猫でも個体差があるという。
でもまだ2本残っているのだ。
他の猫でも実験するぞー。


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