主人と2人で歩くと、食品売り場を除いては大抵、私が後から付いて行く形になる。 デパート等で上りのエスカレーターに乗ると、目の前は彼の背中だ。 背中を触って、手を少し下げると、そこはお尻だ。 一応後ろを振り返り、誰もいないのを確かめて、お尻を触る。 「やめなさい」 軽く手を叩かれて、こう言われた。 「どうして人のお尻に触るの」 「えっ、どうしてって言われても、そこにお尻があるから(byマルロー)」 「……シオンはイギリスには住めないね」 「どうして?」 「イギリスには、町の至る所に監視カメラがあるからさ。『この人、いつも旦那に触ってるよ。変態だな』って言われるぞ」 良かった、ここは日本で。
そしてまた上りエスカレーターに乗って、何の気無しに主人の後ろポケットに指を引っ掛け序でに、お尻を触ると、下りエスカレーターと交差する所で視線を感じた。 上り線には我々の他に誰もいなかったのだが、下り線に乗った中年のご婦人が、ギョッとしたようにこっちを見ていたよ……ありゃりゃ。 エスカレーターを降りたところでそれを主人に話すと、「それ見た事か」と叱られるかと思いきや、 「じゃあ叫べば良かったかな。『キャ〜〜〜、誰か助けてええ』って」 この人はいつも、私の予想しないところを行くなあ。
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