天上天下唯我独尊

2007年02月13日(火) 蕎麦通の最期

アンナ・ニコル・スミスと、パメラ・アンダーソンの違いがよく判らなかった私。
金持ちの老人を篭絡した方が、アンナだったのね。
しかし、うまいやり方だよなあ! 老い先短いジジイと法的に有効な結婚をして、1年後にジジイ死亡。何て理想的なパターン。
でも、ジジイに先妻の子供がいたのがまずかったよなあ。あんだけ揉めるなんて。
ま、どれだけ大金があっても、あの世には持って行けない訳だが。

最近の私は、手ん棒生活を送っている。
先週から利き手を痛めているが、一向に良くならない。
良くならないのは、手を使うからだという事が判った。
「手を使わないで安静にしていれば良くなる」
とは言われたが、普通に家事をしていて利き手を使わない訳には行かぬ。
しかし、手を使うと痛い。
ど、どうすれば……と考えて、手を使わなければ良いという結論に達した。
何をするにも、左手メイン。
已むを得ず利き手を使う時も、痛い指は隣の手に添えて、なるべく独立して動かさないようにする。
そうすると、自然に指と指がくっ付いた形になる。
子供時代に「手ん棒」とからかわれた、野口英世の左手のようになるのだ。

困るのは、雑巾しぼりである。
これは、片手では出来ない。
従って、掃除は掃除機をかけるだけ。
これも利き手は使えず、通常より時間がかかる。利き手で掃除機を持つと痛いのだ。
床用ワイパーも試してみたが、利き手を使わないと、自分の意思とは違う方向に行ってしまう上、力の加減が難しいので諦めた。
料理も難しい。
左手で包丁を握るのは流石に怖いので、出来合いの物を買って来て、何とか凌いでいる。

有体に言ってしまうと、家事の放棄である。

いや、勿論必要最低限の事はやる。
しかし、必要最低限の事しかやらない。
当然、負担は主人へ……悪いとは思うが、仕方あるまい。
食事の後片付けが嫌になった彼が言った。
「明日は外食にしようか」
「嫌。この前贅沢をしたばかりだから、暫く節約生活しましょうよ」
と私が拒否すると、彼は言った。
「シオン、それじゃあまるで、巨万の富を銀行に預金したまま死んじゃう人みたいだよ。お金は生きているうちに遣わないと!」
そして、こう語り始めた。
「落語で、蕎麦通の話があるんだけれど、知ってるかい? 『つゆなんてのはなあ、蕎麦に一寸だけ付けるもんなんだよ。どっぷりつゆに漬けちまったら、蕎麦本来の味がわかんねえだろ!』と言っていた蕎麦通が、死ぬ間際に、『ああ、おらぁ1度でいいから、蕎麦にたっぷりのつゆをつけて食べてみたかったよ……ガクリ』って死んじゃう話。シオンはそんな感じだね!」
そんな感じって言われても……。
でも、何だか酷い事を言われている、という事だけはよく判った。


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