天上天下唯我独尊

2006年11月21日(火) 異文化交流

愈々寒くなって来たので、タイヤをスタッドレスに替えた。
無論自分では出来ないので、ガソリンスタンドにお願いした。
そうしたら、そろそろ新しいタイヤに買い換えた方が良いと言う。
晩御飯は、鍋物にした。
温かいし、楽ちんだし、そろそろおでんもいいねえ。
などと話しながら食べていて、私はゆずぽんの瓶に手を伸ばした。
しかし瓶を振りながら、自分の近くに持って来る途中で、手が滑ってしまったのだ。
落下地点には運悪く、私のとんすいがあった。
飛び散る野菜や肉。
汁がぽたぽたとテーブルから垂れ、床を濡らした。
エプロンをしたままの私の膝にも、榎茸と肉が飛んでいた。
動いたらエプロンの水溜りも瓦解してしまう。どうしよう。
私が呆然として、膝の榎茸と肉を手掴みで食べていると、
「あーあ。ほら、これで拭きなよ」
と、ダーリンが台拭きを持って来てくれた。しかしこれでは到底足りない。
仕方が無いので立ち上がると、エプロンの上の汁溜りが床に落ちた。
洗面所の雑巾もバケツごと、全部持って来て欲しかったのだが、台拭きを持って来たら自分の役目は果たしたとばかりに、自分だけ食事の済んだダーリンは、既にそっぽを向いてPCで遊んでいた。
零したのが彼だったら、こうは行かない。
雑巾やら何やら持って来て床を掃除し、彼を風呂場に追い遣り、着替えまで用意するのは、きっと私なのだ。
しかし私が零した場合、私が全部自分でやらなければならないのは何故だろう。
釈然としない思いを抱えつつ、半ば諦めて、私はとぼとぼと、水を滴らせながら風呂場に向かった。

エプロンを脱ぎ、水でざっと洗い、洗濯機に放り込んだ。
ズボンも靴下も濡れていたので、同じく洗濯機へ。
結構な嵩になったし、明朝まで放置すると汚れが染み付いてしまいそうな気がしたので、夜だけれど深夜じゃないので、洗濯機を回した。
スリッパにも汁が染み込んでいたので、これはゴミ箱に。
洗えないスリッパだし、夏中使ったのでもういいかなと。
上とパンツだけは無事だったので、ズボンだけ履き替えた。

居間に戻ると、テーブルの上の食器は殆ど片付いていた。
「すいとんに罅が入っていたから、まだ中身は残っていたけれど、捨てちゃったよ。欠片が入っていたら危ないからね」
床もテーブルも水溜りはそのままだが、遊んでいる振りして、少しは手伝ってくれたのか。
お礼を言って雑巾がけをしていると、また彼が言った。
「これがシオンの実家だったら、絶対怒られてるね」
「うむ……」
確かに、うちの親なら怒る。零すのは、行儀が悪いからだと。
「貴方のおうちでは怒られないの?」
と訊くと、
「うちは、やっちゃったもんは仕方ないって考えだからなあ」
だそうで。
確かにそうだわな。


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