福井を皮切りに全国の高校で、生徒の履修単位が足りないという事が発覚した。 ニュースでもワイドショーでもこの件について取り上げていたが、不思議に思った事がある。 北海道と福岡の苛めによる子供の自殺があって、学校の対応が悪かったのは確かだが、それに便乗して学校だけを悪者にしようとしていないか?
履修偽装なんてのはどこの高校でもやっている事で、今の所一部の学校しか名前が挙がっていないが、穿ればどんどん出て来るだろう。 全ての高校でやっている訳ではないが、カリキュラムには実施用と教育委員会への提出用の2つがあり、それは教育委員会も知っている筈。教育委員会には教員経験者も多いのだから。 それが取材に答えて、知らぬ存ぜぬを決め込むなど、とんでもない。 と、教育関係の仕事に就いている知り合いは言っていた。
確かに、決められた事を守らないというのは、教育者として如何なものかと思う。 しかし、学校側だけのせいには出来ないだろう。 学習指導要領を作るのは、教員ではない。 文部科学省の役人や政治家が決めたものを、現場の教員は押し付けられているのである。 「踊る大捜査線」の「事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ!」じゃないが、現在の学習指導要領が余りに現実を無視しているから、こんな事が起こるのだ。 では、現実とは? それは、ゆとり教育によって、基礎学力が全く無い子供達が高校に入って来るという事である。 小中学校で学ぶ事は減ったが、大学入試のレベルが下がった訳ではない。 その皺寄せが、高校に来るのだ。 学校だけを悪者扱いにするのは、片手落ちというものであろう。 文部科学省の責任をマスコミが突っ込まず、世間がヒステリックに学校と教育委員会だけを責めるのは、明らかにおかしい。
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