朝、カーテンを開けて驚いた。 外が真っ白だったんだもん。 タイヤ交換しようと言われていたが、待って正解だったかも。
「人生、幾つになってもやり直し出来る」
よく聞く台詞である。 しかしこれは飽くまで人生に失敗した人を励ますためのものであって、全く正しい訳ではない。 当たり前の話だ。 置いて来た過去は、何年経っても何十年経っても、人を苦しめる。
「シオンは僕の大仕事の前日には、必ず突っかかって来るよね」 と主人に言われた。 しかし私には心当たりが無い。 思うに、私はいつも通りに振舞っているのを、主人がピリピリしていて受け止め切れないのではないだろうか。 ……つまり普段からの私が悪いという事か。 彼の大仕事は、毎回見に行く。 見たいが、同時に見たくないものもあるのかも知れない。 病み上がりを理由に、途中で帰って来てしまった。 雪は雨に変わっていた。
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