天上天下唯我独尊

2006年02月06日(月) 私を待っていたもの

泊り掛けで出掛けるのは、余り好きではない。
荷造りなどの準備が面倒だし、家に戻ると、いつもより多くの洗濯と掃除が待っている。
それに加えて今回は、ダーリンが死に掛けていた。
私が里帰りする前から具合が良くないとは言っていたが、私のいない間にどんどん悪くなっていたようで、土日は寝たり起きたりだったらしい。
「ごめんね、特別な用事でもないのに病人を置いて行ってしまって」
と私が謝ると、
「いいの。シオンも時々は顔見せに行かないと。お義父さんもお義母さんも喜んでたでしょ」
と私の両親の事を気遣ってくれる。

体のあちこちが痛いのはいつもの事だが、今回は胸がどきどきしたり、呼吸が出来なくなったりするらしい。
少し前の心電図には異常は無く、心臓は何ともないとお医者に言われたのだが、本人は苦しがっている。
「何が悪いんだろうねえ。細木数子が言うように、お墓参りにでも行って来る?」
と私が提案してみても、
「ううん。今の時期は雪に埋もれてるから無理」
と言う。
医者に行って判らないなら、霊障なんじゃないのか?
まあ、それで変な自称霊能者に引っ掛かるのは御免だが。

病人が弱気になっているので、一寸からかってみた。
「ねえ、私がいなくて寂しかった?」
すると彼は珍しく素直に
「うん。寂しかった」
と言うではないか。
そんなにしんどかったか……。
「シオンはお義父さんとお義母さんの子供だけれどさ、もう僕の奥さんなんだから、あんまり家を空けないでね……」
悪かったよ……。
でも、私が一方的に家を出て行ったんじゃなくて、貴方の許可を貰っての里帰りだったんだから、辛いなら遠慮せずに言えば良かったのに。
言わなくても解る関係が彼の理想らしいが、私は彼と違って霊能力者でも何でもないのだから、ちゃんと言って貰わないと解らない。
そもそも言葉って、気持ちを伝えるためのものなのだから。


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