天上天下唯我独尊

2005年12月13日(火) 真冬の怪談2005

9月上旬にそれまで住んでいた夫婦(参照1参照2)が引っ越して以来、上の部屋は空き家になっている。

風呂上がりにトマトジュースを飲んでいた主人が、居間に入って来てこう言った。
「ねえ、上の部屋に誰か越して来た?」
「ええっ、知らないよう。暫く前にハウスクリーニングは来てたけど、引っ越しトラックも見ていないし」
もし上に入居者が入っていたら、夜遅くのドアの開け閉めなどに気を付けないとならない。
「待って。一応見て来る」
と言うや否や私は立ち上がり、自分のブーツを履くのが面倒なので主人の靴をつっかけて外に出た。
ぐるりと窓の方に回って見ると、暗くてよく判らないが、カーテンはかかっていないように見える。
一応、階段を上がってドアを見たが、郵便受けにはガムテープが貼られている。
つまり、まだ誰もいないと言う事だ。
部屋に戻り、主人にそれを報告すると、
「そうか……おかしいな」
と言って、黙り込んでしまった。
い、嫌な予感……。
「ええと、あの、まさか」
恐る恐る聞くと、
「うん。さっき台所であしおとが聞こえたんだよね」
「本当に上から? 下とか横とかじゃないの?」
「下からだと、それはそれで怖いと思うが……」(∵我が家は1階)
と言いながら、彼は台所の天井を指差した。
「この端っこからあっちの端っこまで、横切るように、パタパタパタって走って行ったんだけど」
や、
やめろおおおお!
「そんな怖い事言わないでよっ。夜中に水飲みに起きて来られないじゃないのさ!」
「だって本当に聞こえたんだもん……」
聞こえても言うなっっ。


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